ぞうがん

肥後象がんとは?
肥後象がんは鉄砲鍛冶が鉄砲の銃身や刀剣のつばに装飾として象がんを施したのが始まりといわれている地鉄に金銀をはめ込み様々な模様を表現する工芸品です。

肥後象がん

「肥後象がん」の文字の意味と表記について
肥後象がんの「象」は、図柄=象(かたち)、「かたどる」を意味し、象を嵌(は)め込むという意味で「象嵌」、「象眼」、「象がん」と表記されます。
国指定の伝統的工芸品の表記では「肥後象がん」とひらがなを使用するものが正しい表記となりますが、作品名や技法には漢字を使用する場合があります。
製造開始年代
江戸時代以前
制作されている地域
熊本市 / 南関町 / 山都町
材料
鉄(地鉄)、金、銀など
工芸品や技法の特徴
布目象がん、彫り込み象がんなどの技法
国指定の伝統的工芸品
肥後象がんは、2003年(平成15年)3月に経済産業省から国の伝統的工芸品に指定されました。

 

国の指定マーク

肥後象がんは、熊本県に4つある国指定の伝統的工芸品の1つで、熊本県の代表的な工芸品の代表にあげられます。

伝統的工芸品とは ▼

・主として日常生活の用に供されるもの
・その製造過程の主要部分が手工業的
・伝統的な技術又は技法により製造されるもの
・伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
・一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの
上記5つの項目を全て満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号、以下「伝産法」という)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。

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ぞうがんの歴史

肥後象がんの歴史
肥後象がんは、約400年前の江戸時代初期に、鉄砲鍛冶が鉄砲の銃身や刀剣の鐔に装飾として象がんを施したのが始まりといわれています。
特に、細川忠興が時の名匠を召し抱えて刀剣金具の製作にあたらせ、技量の奨励をはかったため、鐔や刀装金具類など数多くの名作が産み出され、全国的にも「肥後金工」として高く評価されました。江戸時代の金工には、肥後象がんの始祖といわれる林又七を始めとする林家をはじめ、西垣、平田、志水の4家と幕末の神吉家があげられます。明治維新の廃刀令を受けて刀剣金具の需要が減りましたが、その技術を生かした装身具などが作られるようになりました。
昭和から現在の肥後象がんについて
昭和には、国の重要無形文化財保持者に認定された米光太平や、県の重要無形文化財に認定された田辺恒雄らにより後継者の育成がなされ、肥後象がんの技術が伝えられています。
技法には、布目象がん、彫り込み象がんなどがありますが、現在、多くは布目象がんの技法で製作されています。黒い鉄地の中に金銀の装飾がはめ込まれ、武家文化の伝統を感じさせる重厚感・高い品格が感じられる文具や装身具が作られています。

桜破扇象嵌鐔

桜破扇象嵌鐔 米光 太平

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ぞうがんの製作工程

1.生地を磨く
地鉄の表面に少量の水をのせ、サンドペーパーを用いて研磨する。地鉄の表面の錆や汚れを完全に除去する。
2.下絵描き
磨き終わると象がんを施す部分の下絵を描く。あらかじめ和紙に描いた図案を地鉄の上に直接毛筆で写す。
3.布目切り
象がんを施す部分の鉄地にタガネで布目状に切る。
(縦・横・斜め2方向の四回違う方向に刻み目をつける。)
4.打込み
金・銀・銅等の板や線を、下絵を追いながら、鹿の角で打ち込む。
5.叩きしめ
小さな金槌で金銀の表面を金槌で叩きしめる。
6.布目消し
鉄地に残った余分な刻み目を「キサキ」を使って磨き、布目を消す。
7.毛彫り
金・銀の表面を朴炭で軽く砥ぎ、ヘラで入念に磨きあげたのち、模様を彫り込む(毛彫)。
8.錆出し
長持ちさせるため、錆液を塗って鉄地に錆を発生させる。
錆出し液を全体にむらの出ないよう布で液を塗り、火にかけて焼くという作業を繰返す。
錆出し液は秘伝中の秘伝といわれる。
9.錆止め
お茶の液に浸して煮る。タンニンの化学変化によって、鉄地の表面に黒い鉄錆を出すことで、鉄の酸化を防止する。
肥後象がんの特色は鉄錆(てつさび)を意識的に出し、それによって鉄と空気を遮断し、錆止めの効果を出す点にある。
10.焼き付け
油を塗って3回程度焼き付ける。
11.仕上げ
鉄錆を刷毛でこすり、表面の錆を落として拭き上げて完成させる。

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ぞうがんアーカイブ映像(Youtube)

映像でみる肥後象がんの製作工程
坊田透 氏 アーカイブ映像

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ぞうがん作品紹介

桜破扇象嵌鐔

桜破扇象嵌鐔
米光 太平

肥後象眼 時計とくさり

肥後象眼 時計とくさり
なべつねさく

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About Higo-Zogan ▼

桜破扇象嵌鐔

Higo-zogan, or Higo inlay metalwork, is a traditional craft in which gold and silver leaf are used to inlay intricate designs onto an iron base. The production of this craft started with inlay designs being used to decorate gun barrels and sword guards 400 years ago in the early Edo Period. Higo metalworking was renowned across Japan for its high quality throughout the Edo Period.
Currently, Higo-zogan techniques are used to inlay gold and silver designs on a black iron base to make pens, jewelry, and other accessories that emanate a deep sense of elegance and refinement.

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Higo-Zogan Production Step-by-Step

  1. A design is sketched onto the iron base in ink.
  2. A chisel is used to finely carve into the iron base in preparation for inlaying the gold and silver.
  3. Carved areas are given texture by being carved in four directions ? vertically, horizontally, and diagonally.
  4. Gold and silver are set into the carved areas using a deer antler. Any carved areas leftover outside of the design are rubbed out and erased.
  5. The gold and silver surfaces are pounded with a small metal hammer.
  6. A design is engraved into the gold and silver.
  7. A corrosive liquid is applied, causing the iron not covered with gold and silver to rust.

The iron base is submerged in a tea solution for 30 minutes. Although the gold and silver design remains unharmed, the tannic acid within the tea reacts with the rusted portion of the iron base to form a film of black iron rust on its surface. This prevents the oxidation of the iron.

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