インタビュー記事(2010年頃)
オレンジ色に焼けた塊を、1100℃を超える炉の中で回転させバランスをとりながら形を変化させていきます。作っておいたケーン(ガラス棒)をくるりと巻き付け、熱を加えながらねじりを加えると、みるみる美しい波紋の模様がガラスに描き出されます。「ガラスは触るほど汚れてしまうもの。自然に出来た物のように見せるため、重力や遠心力を利用して作っていくんです」吹きガラス作家の島田真平さんがこの道を選んで20年以上。島田さんは島田美術館・前館長の息子であることもあり、幼い頃から様々なアートに触れてきました。現在は制作公開展示やガラス工芸の楽しさを広く伝えるため、教室も開講しています。国内外の作家仲間も招待し、ワークショップの開催や技術の交流にも積極的です。島田さんは琉球ガラス作家・佐久間正二氏の下で2年間修行した後、富山ガラス造形研究所に入学。そこで出会ったガラス造形作家ブライアン・パイクから自由で人を惹きつける作風に衝撃を受け、現在のパフォーマンスのような制作スタイルや心得を学びました。
島田さんの場合、おおまかなデザインをイメージした後は実際の作業過程でカタチを決めていく、いわば“瞬間のアート”。