ジャンル
木工品
工芸品名
ひとよし

ライン

地域
(葦北郡芦北町)
氏名
らいいちろう

ライン

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工芸家プロフィール

1936年
人吉市に生誕。
熊本の大学を卒業後、父が創業した「東亜工業所」へ入社、2代目代表取締役となる。
1979年
熊本県伝統的工芸品指定。
以前は学校向けの机や椅子、現在は喫茶店や旅館、居酒屋など店舗向け建具の注文が多い。
永眠。

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インタビュー記事(2010年頃)

父親の後を継ぎ、人吉家具製作の代表として従業員たちを牽引してきた御手洗猪一郎さん。15年前から車椅子を使うようになった今でも、作業場には毎日顔を出している。
「父が創業した当時は木製の空気入れから始まりました。端材で簿記帳に仕切りを付けるための簿記棒を作ったり、昭和30年代以降は小・中・高校向けの学習机を作ったり。時代にあわせて作る内容を変えてきたんです」
周辺を山々に囲まれた人吉・球磨地方は、樹齢数百年の銘木が数多く産出する山林地として発展を遂げてきた。かつての銘木市には九州中の木工関係者が集まってきた。
「この辺りにはケヤキや桜もたくさん生えていたんですけど、すべて伐採されて残っていません。その後に植林されたのは杉や檜ですが、人工林だと成長が早いため年輪が大きい。つまり、材質が弱いわけです」

主力製品だった学校向けの学習机もスチール製に取って代わられ、現在は旅館や居酒屋、喫茶店といった店舗のカウンターや作り付け家具なども請け負うようになった。こうした大型になると端材が出るため、家庭向けの木製ダイニングテーブルや折りたたみ式の椅子として再生させている。
「中国産の安価な量産家具が大量に出回っていますが、今後、受注家具まで請け負うようになれば、私たちも大変になるでしょうね」
父の代では第二次世界大戦を乗り越え、たび重なる景気のうねりに翻弄されながらも持ちこたえてきたのは、どれだけ過去に売れた商品であれ、その栄光に固執することなく時代のニーズを捉えてきたからだろう。
20代の若手から勤続30年以上という60代のベテランまで、総勢15人の従業員を抱える御手洗さん。「後継ぎが決まっていないから、まだまだ現役ですよ」と柔和な笑顔で語ってくれた。

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