インタビュー記事(2010年頃)
益城町で手作りの木工家具を作る森永博文さんは、20代前半の頃に2年半をかけてバイクで世界一周したという経歴の持ち主です。28歳ごろログハウス作りの会社へ就職。手加工で木と触れ合う楽しさと出合い、熊本県立職業訓練校木材工芸科で木工技術の基礎を学びます。その後、手作り家具工房で大小さまざまな木工製品に携わり、独立しました。
使う木材はナラ・タモ・ウォールナット・杉、ヒノキなど用途に応じて選びます。「人に害の少ないものを」と、塗料などにも可能な限り気を使っています。
「自然塗料の場合、使っていくうちに色あせしてくるため、買った後でも吹き直しなどのメンテナンスを要します。要望によっては機能面を優先した塗料を使うこともありますが、そんなときは木が呼吸するために空気の通り道となる導管の穴をつぶさないような塗装を選んでいます」
オーダー家具からティッシュケースまで幅広く手がけますが、人気なのが桐の集成材を使った『おままごとキッチン』。持ち運びが楽で、未就学児程度の子供が遊べる大きさです。ままごと遊びをしなくなったら不要なパーツを外して、幼児期用の机や収納家具としても使用できるという優れもの。
「一人で製造から販売まで行っていますから、楽しくもあり大変でもあります。しかし、ようやく完成したときには悦に入りますよ」
100年かけて育った木を、100年先まで使える丈夫で飽きのこない家具に。その間に次の資源が育てば、貴重な木々はずっと先まで枯渇しません。そんな気持ちで家具を作っているといいます。木は、太古からあって再生可能な資源。ムダなく大事に使っていきたいという作り手の思いが使い手へと伝われば、自然環境も明るい未来へと繋がっていくでしょう。