インタビュー記事(2010年頃、2017年頃追記)
中国で生まれた“
釉薬の掛け方も独特で、最初に釉薬の中に素焼きした作品を浸した後、4〜5o程度の厚みになるまでスプレーガンで釉薬を塗り重ねていきます。釉薬が厚いぶん、キズも出やすい。青瓷の釉薬は粘り気があるため、焼成の際に発生するガスがうまく外に逃げられず、クレーター状の穴が生じてしまうこともあります。「失敗すれば、一窯全滅。それも何度となく経験しました。そのときは、さすがにやる気を失うことがありますが」と苦笑いしますが、それでも止められない魅力が青瓷に潜んでいるのでしょう。桃崎さんが研究を続けているのが氷裂貫入(ひょうれつかんにゅう)という技法です。還元焼成では納得する青色を生み出すのが非常に難しいといいます。貫入とは土と釉薬の収縮率の差によって器の表面に入るヒビの事。氷裂貫入はその名の通り、配合や焼き方の加減によってヒビが折り重なり、鱗状を呈して幻想的な美しさを生み出します。平成28年熊本地震では、西原村にあった工房が全壊しましたが、現在は熊本市内の自宅を工房として、澄み切った空のような“天青の色”を目指し、窯を燃やし続けています。