(人吉市)
工芸家プロフィール
インタビュー記事(2010年頃)
いざ木を挽いてみると乾燥が足りなかった…なんてことになれば、目も当てられませんから」ようやく使える状態になった木は、ろくろに取り付けて仕上げ。馬と呼ばれる木の台で削り道具と腕を固定させ、ガラガラと大きな音を立てながら回転する木に丸ガンナやキサゲといった手製の削り道具をあてて挽いていくと、木片が滑らかな曲線へと変化していきます。一見簡単そうにも見えますが、材料が材料だけに削り損ないは許されません。林田さんも、この仕事を始めた頃は何度も失敗を重ねながら、体で手の感覚を覚えていったといいます。成型後は、拭き漆で仕上げて光沢を出す。漆を塗ってはすぐに拭き上げ、乾燥させた次の日にまた漆を塗る。この作業を5回以上繰り返すと、素朴な木質の表面がしっとりと艶を帯び、気品が増して見えます。「作った品物を手に取って喜んで下さるお客様に巡り会えたときは、本当に嬉しいですね」と語る林田さん。手仕事だからこそ出せる、持ちやすさや使いやすさをぜひ手に取って感じてください。