平木さんの焼き方は、大きく分けると2つ。青みや緑がかった柔らかな風合いが現れる灰釉の器は、ホタル技法を用います。ホタル技法とは、透かし彫りした文様に流れ落ちにくい釉薬を詰めて焼く技法です。この技法で焼くとガラス質がそのまま留まってステンドグラスのようになります。そして、もう一つは釉薬を使わない焼締(やきしめ)。下書きは行わず、成型した胎土にフリーハンドで透かし彫りをしていくランプスタンドや香炉(こうろ)は、灯りをともすと幻想的な陰影が周りを非日常の世界へと一変させます。一方、同じ焼締でもカップなどの器になると、ひと味違います。信楽(しがらき)の土を数種類ブレンドした粘土で器を成型し、窯の中にさやを入れて炭や塩と一緒に焼成すると、ブロンズのような、なんともいえない光沢が生まれます。「彫刻や自然を見たりして、焼き物とは直接関係のないものからインスピレーションを得ています」
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